哲学の庭

「哲学の庭」は宗教・哲学・法を代表する人がそれぞれ同心円上に配置されており、世界の異なった場所の人々が、より相手に近づくことが出来るようになるためには、プラス・マイナス(±1)の原点に返ることが必要という作者の考えが反映されています。また作品には民族や歴史、文化などは違っても西洋と東洋をつなぎ、人間社会の本質を考察し、人類の恒久平和の理想を追求した作者ワグナー・ナンドール(和久奈 南都留)の思いが込められています。この彫像群は平成21年(2009年)、日本とハンガリー外交関係 開設140年・国交回復50周年の記念事業の一環として中野区に寄贈されたものです。同様のものがハンガリーの首都ブダペストにも設置されています。

梅林区域の哲学の庭周辺での撮影は禁止です。
なお、出版及び放送等を目的とする撮影の場合は事前連絡をし、許可を受けることが必要です。

第一の輪

第一の輪・・・中心点に集まる完全な輪で、異なった文化を象徴する、思想を作り世界の大きな宗教の祖となった人物たちが配置されています。
・老子(ろうし 道家の祖)
・キリスト(イエス・キリスト キリスト教の基礎を築いた)
・釈迦(しゃか 仏教の開祖)
・アブラハム(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教を信じる、いわゆる聖典の民の始祖)
・エクナトン(エジプト第18王朝第10代の王アメンホテプ4世の別名 アモン信仰を捨てアトン崇拝を開始した)

第二の輪

第二の輪・・・文化や時代が違っても、同じように悟りの境地に達してそれぞれの社会で実践し成果を得た人物たちが配置されています。
・達磨大師(だるまたいし 禅宗の開祖とされている人物。中国で活躍した仏教の僧侶)
・聖フランシス(フランシスコ修道会の創設者。カトリック修道士です)
・ガンジー(インド独立の父。弁護士、宗教家、政治指導者)

第三の輪

第三の輪・・・法の輪で、異なった時代において各々が法をつくり、現存する法律の主流をつくった人物達が配置されています。
・聖徳太子(冠位十二階などの他・憲法十七条を制定し、仏教の興隆に力を尽くしました)
・ユスチニアヌス(ローマ法大全を編纂し、ローマ法の集大成を図りました)
・ハムラビ(バビロン第一王朝第六代の王。慣習法を成文化した「ハムラビ法典」を制定しました)

作者ワグナー・ナンドール

ワグナー・ナンドール(Wagner Nandor)は、ハンガリー出身の彫刻家です。 歴史の流れに巻き込まれたワグナー・ナンドールは、ハンガリー、スエーデン、日本にと移り住みました。 1969年に来日し、栃木県益子町にアトリエを建てました。生涯に亘って研究した「分析的美術史」の成果から見出した理論に基づいて、人々の幸せへの道 (TAO) を開く鍵を確かに次の世代に手渡す事を願いました。そのメッセージを彫刻で表現したのが「哲学の庭」です。 常にその国の真の利益と自分の周りの人々の幸せの為に全エネルギーを投じて仕事に没頭し、1997年11月永眠致しました。

ご鑑賞時のおねがい

哲学の庭付近での撮影は禁止しています。
また、周囲の芝生部も作品景観の一部となっていますので、芝生上での休憩などでの利用はご遠慮下さい。